この記事では、
2022年の全日本大学駅伝に向けた、東洋大学の戦力分析をしていきます。
今回は、暫定エントリー16名について主に触れていきます。
この記事は各学年ごとに分けた分割版があります。
1年生編→ こちら 2年生編→ こちら
3年生編→ こちら 4年生編→ こちら
全学年版→ こちら
2022/10/12、公式ページより暫定エントリー16名が発表されました。
https://daigaku-ekiden.com/news/2022/10/post-180.html
<当日までの流れ>
10/12(水) エントリー16名発表
↓
11/03(木) エントリー13名発表 (正選手8+補員5)
↓
11/06(日) エントリー8名発表 (レース当日朝のメンバー変更を反映した確定オーダー)
東洋大学の暫定エントリー16名
■出雲エントリー組 ■全日本から合流組
4年 ■ 柏 優吾
4年 ■ 木本 大地
4年 ■ 児玉 悠輔
4年 ■ 清野 太雅
4年 ■ 前田 義弘
3年 ■ 奥山 輝
3年 ■ 九嶋 恵舜
3年 ■ 佐藤 真優
3年 ■ 村上 太一
2年 ■ 石田 洸介
2年 ■ 梅崎 蓮
2年 ■ 甲木 康博
2年 ■ 小林 亮太
2年 ■ 吉田 周
1年 ■ 緒方 澪那斗
1年 ■ 西村 真周
↑名前をクリックすると選手データ詳細へ飛びます。
出雲駅伝は自然豊かなイメージで緑、全日本は途中通過する二つの赤い鉄橋(木曽川大橋・揖斐長良大橋)のイメージで赤という配色してみましたが、いかがでしょうか。箱根は冬で寒いから青かな。安直だけど(笑)
■児玉④ ■甲木② ■石田②
■佐藤③ ■前田④ ■吉田②
まず出雲を走った6名は、出雲駅伝から日が浅いこともあり、現段階ではそのままエントリーできました。
[スポトウ]学生三大駅伝初戦の出雲駅伝 序盤から流れを掴めず悔しい結果に
↑出雲駅伝後の監督・選手インタビューが出ています。
児玉選手④(出雲1区)
出雲駅伝では1区13位に沈みましたが、前半シーズンでの活躍(関東インカレ1万m3位表彰台、その他自己ベスト更新)を考えれば、やはり頼れる存在ですね。
全日本では、本人の希望していた1区以外の(タスキを受け取る)シーンは実現するでしょうか。
甲木選手②(出雲2区)
スポトウでのコメントでは沿道の観客についても触れられていて、二年目でようやく掴んだ大学三大駅伝デビュー、本当によかったなと思います。
メンバーの中で唯一10000mの出走経験がなく、今年は出雲の距離までということも考えられましたが、しっかりと全日本のエントリーにも入ってきました。
練習ではすでに10km区間にも対応できているということなのでしょうか。
石田選手②(出雲3区)
「チームとしても個人としても惨敗だった」と本人が振り返る出雲駅伝でした。
卒業生の弾馬選手が下級生から上級生になっていく時もそうでしたが、きっかけさえ掴めれば駒澤・田澤選手や順天堂・三浦選手のような『ゲームチェンジャー』になれるポテンシャルは本来持っているはず。
次の全日本では、ぜひ前半区間で他校のエースと直接対決できるレース展開での成長を期待しています。
佐藤選手③(出雲4区)
前回の振り返り記事 で一番感想が気になっていて、スポトウでのコメント待ちとしていた佐藤選手ですが、
「8位より前が見えていなかったので少しでも上げようと思っていたが、空回りしてしまった」
とのことでした。
調子云々というよりは、展開・気候からくる苦戦だったようで、それならば今回は流れに乗れさえすれば大丈夫かなと捉えています。
またこの選手も、久しぶりとなった有観客について触れていました。
特に今の三年生以下は、駅伝での無観客もそうですし、本来ならもっと多くのロードレースが開催されて下級生からもっと多くの舞台が経験できて、記録も狙えた世代なんですよね。
これから駅伝にたくさんの声援が戻ってくるような世の中に早くなって、そこを走る経験を味わってほしいな思います。
前田選手④(出雲5区)
8月の北海道マラソンでの女子30kmのペースメーカーから、10月の出雲駅伝にも出場して、さらにはチームのキャプテンとしても。まさにフル回転の前田選手。
全日本は過去3年間でチーム内最多の三度の出場経験があり、非常に頼もしいです。
走ってきたコースのバリエーションは豊富で、距離の長い6区→起伏の激しい4区→ハイスピードの2区と、その年のチーム事情によって求められる働きに常に対応してきてくれました。
今年はまだ胴上げOKか把握できてませんが、190センチの体が宙に舞う姿を見たいですよね。
吉田選手②(出雲6区)
前回の振り返り記事 で単独走が上手くできたのかなと書きましたが、本人的には単独走に苦戦したとのコメントで意外でした。
ターゲットが見えない中で走る難しさはもちろんあると思いますが、男鹿駅伝〜出雲駅伝とアンカーを務めたこともあって、淡々と走りたいタイプを想像していました。
もしかすると、今度はもう少しガヤガヤとした前寄りの区間で起用してみるのも面白いかもしれないですね。
(実際、男鹿駅伝は上位4チームの混戦を抜け出して優勝のゴールテープを切ったようですし)
出雲駅伝を経験できたことで、次の全日本に向けての準備も具体的になっていそうですし、本当に戦力が一枚増えたなという感じですよね。楽しみです。
■奥山③ ■西村①(出雲補員)
■梅崎② ■緒方①(お留守番)
出雲駅伝の10名のエントリーに入り、補員として現地入りした奥山選手・西村選手も、↑の6名と同じく出雲駅伝を走る準備はしていたでしょうし、全日本でも順当にエントリーできました。
逆に、補員から外れた埼玉お留守番組の梅崎選手・緒方選手については状態が心配でしたが、ひとまず全日本の16名には入ったということで、大きな戦線離脱はしていないと推測することができ、ホッとしました。
奥山選手③
出雲直前の記録会で二戦連続で学内2位になるなど好調を維持している印象だったので、出雲を走らず補員だったのはかなり意外でした。
高校時代に1500mで活躍していたこともあり、やはりラストスパートのキレが魅力だと思います。
例えば1区で中継所手前の混戦までついていければ面白そうだと見ていますが、全日本の距離においてはどの区間でもラストスパートは重要になってくるようです。
酒井監督は優勝した2015年の全日本の際、ラストスパートが利く選手を重視して起用したというようなコメントをしていました。
(寺内や山本采矢など優勝メンバーと同じくらいの力を持っている選手が他にもいたが、中継所の手前で青山学院さんの少しでも前に出ることが重要だと思ったので、というような話の流れだったと思います)
出雲は出場できず残念でしたが、距離の伸びる全日本でも、スパートを武器に8人に入るチャンスはまだまだあると思っています。
西村選手①
1年生ながら出雲〜全日本と連続でエントリー入りです。
驚いているのですが、少なくとも入学からこの期間↓ケガをしていなさそうなんですよね。
5月・関東インカレ
6月・全日本選考会(補員)
7月・トライアルいせさき
8月・蔵王坊平クロカン
9月?たむじょーさんのYouTube動画内
9月・酒田市記録会、早稲田大競技会
10月・出雲駅伝(補員)
特に1年生は、大学に入って練習量も距離も増えるでしょうし、寮生活や授業に慣れるので一杯いっぱいなのが普通かと思うのですが、1年目からこれだけコンスタントに走れる選手はなかなかいないと思います。
近年、例えば全日本6区だと、
2018年の鈴木選手
2019年の前田選手
2020年の腰塚選手
2021年の菅野選手
など、三大駅伝の経験がない選手を酒井監督はポーンといきなり置いてくることがあるので、今年は西村選手あたりにその予感がしていますね。
梅崎選手②
5月の関東インカレ・ハーフマラソン準優勝の時に出した62分41秒 というタイムは、10000m換算でだいたい 28分44秒(ダニエル式で28分29秒 + 15秒をよく目安にしています)に相当すると思っています。
実はもう準エース級の力はありそうなんですよね。
早稲田競技会DNS→出雲駅伝補員外というのが少し心配ですが、走れる状態ならば将来のエース候補として、7区(17.6km)あるいはアンカー8区(19.7km)のロング区間を任せたいところです。
というのも、本来のエースである3年生・松山和希選手が、出雲→全日本と連続でエントリーから漏れてしまったんですよね。
こうなってくると、箱根駅伝までに松山選手が戻ってこられるとしても、復帰していきなりの花の2区というのはさすがにちょっと黄色信号かなということで、他に箱根2区を走れる選手を準備する必要があると思います。
順当に考えれば前田選手かなとも思うのですが、4年生なのでせっかく走っても来年には卒業してしまう。下級生の頃から2区を走っていて集大成の年というわけでない限りは、やはり花の2区の経験というのは、なるべく来年以降のチームにも残したい。となると、任せるとしたら2年生の梅崎選手のほうが良いのかなと思っています。(松山選手が卒業した後の2区も任せられる)
箱根2区から逆算してこのどちらかのロング区間を経験しておいてほしいです。
(2016年度のチームで、勇馬選手が卒業した後の2区候補に4年生弾馬選手、4年生櫻岡選手などの候補がいましたが、全日本で8区を経験していた2年生の修二選手が任される形になりました。まぁこれに関しては色々あったようですが……)
緒方選手①
緒方選手も西村選手と同じく、1年生ながら出雲・全日本と連続エントリーです。
(入学してきた頃の小笹選手、修二選手も二人でちょうどこんな感じでしたね。)
箱根を見据えた時には、走ってもらわないと困る選手です。
1万mではチームトップの 28分36秒 を持っていますし、全日本大学駅伝では経験を積むだけでなく、ぜひレース展開上の有効打になるようなポイントで起用してもらいたいですね。
■柏④ ■清野④ ■村上③
頼もしい北海道マラソン組3名が帰ってきました。
記事等でも触れられていますが、マラソンだけを見据えた練習ではなく、あくまで夏練習の集大成という位置付けだったことが度々強調されていますね。
そのあたりが、マラソンを走っても全日本に間に合わせられた要因になっていそうです。
村上選手③
今回出走となれば、大学駅伝デビュー戦となります。
全日本大学駅伝、箱根駅伝と下級生の頃からエントリーしているので、そろそろ出番があってもよさそうですが。
他の北海道マラソン組と比べて、この選手は3年生にして42.195kmのレースに出られたというのがスゴいですよね。
(これは大学陸上界全体で見てもかなり珍しいと思います!)
清野選手④
<22/10/19>清野太雅 人より多く走る 〝練習の虫〟長い距離への適性光り 1年目から箱根駅伝エントリーメンバー入り | 月陸Online|月刊陸上競技
全日本エントリーに、4年生が三人も合流してくれたのが頼もしいですよね。
今年の箱根は10区2位の走りで、チームを7位から4位に押し上げた清野選手が11月の全日本からいてくれるのは心強いです。
育成も大事ですが、今年は選考会からの全日本優勝を目標に掲げていることですし、清野選手など4年生を立て続けに並べるオーダーで、狙いに行っていいんじゃないかなと思いますね。
2011年大会は惜しくも準優勝でしたが、3区宇野→4区川上→5区田中→6区山本→8区柏原と、三冠を狙うべく4年生をこれでもかというくらい注ぎ込んだことがありました。
柏選手④
<22/10/19>柏優吾 北海道マラソンで 日本人トップの2位 箱根駅伝&全日本大学駅伝未経験の4年生が チームに大きな刺激 | 月陸Online|月刊陸上競技
北海道マラソンで2位に入り、学生としては快挙となるMGC出場権を獲得した柏選手。
名前が売れたことで、大学駅伝初出場だった前年の出雲駅伝6区アンカーの時とは、周りからの注目のされ方も変わってくるかと思います。
(東洋ファンの皆さんとしては、柏君が凄かったのは前からで、ようやく注目されたか!という感じですよね😅🤗😆)
真面目な性格ゆえに、以前とは違うプレッシャーも感じるでしょうが、他校が脅威として見てくれるわけですから、自信を持って走ってもらいたいです。
新しい立場の柏選手がどのような走りを見せてくれるのか、また酒井監督がどのようなポイントで起用するのか、楽しみにしています。
■木本④ ■九嶋③ ■小林②
木本選手④
関東インカレ・ハーフマラソンで5位入賞を果たした木本選手も全日本からエントリーに入りました!
箱根駅伝4区18位は非常に悔しい結果でしたが、そこから毎年お得意の道場破り・焼津みなとハーフ優勝🐟も経て以降、すごく成長を感じます。
高校時代から応援していた身としては箱根の16名に入った時も大歓喜(!)でしたが、そこで箱根に向けた仕上げの練習を経験したことも、ここにきて成果に現れてきているのかもしれませんね。
6月の全日本選考会でも1組を走りましたし、出雲より距離が伸びる全日本ではやはり戦力になってきます。
九嶋選手③
良かった。全日本には帰ってきてくれました。
昨シーズンは、逆風の出雲4区で区間2位、続く全日本3区は留学生ランナー二人が走る非常にハイペースとなった中で区間8位で耐えるなど良い働きをしてくれていました。
それだけに、今年の出雲は九嶋選手の不在が非常に痛手でしたね。
今の状態は正直なところわかりませんが、出場できるとすれば全日本は出雲の時よりも格段に厚みのある布陣でのぞめます。
小林選手②
距離が伸びて候補に入ってきた木本選手、出雲不在から復帰の九嶋選手ときて、
小林選手は今年に入っての成長度でエントリーを掴んだ選手かと思います。
1年生終盤、今年3月の立川ハーフで 64分17秒 で帰ってきたのを見て、「おっ!来年は箱根の16人も面白いぞ」と思いましたが、今年のうちにもう全日本エントリーに入ってきましたね。
5000mのスピードもグングン進化中で、今年5月に14分10秒の自己ベスト、9月には13分55秒でついに13分台に突入しました。
今やすでに出雲駅伝のエントリー10人発表の時点で、「あれ、ここに小林君は入ってこないのか……」と思ったくらいでした。
MDC東京1500mの時は、なんか靴が脱げちゃったみたいですね。選手からしたら走り切るのは大事なんでしょうけど、見ている側からするとホント怪我とかなくてよかった😌💦
おまけ:新しい取り組みと『N字成長』について
<22/10/18> 駅伝シーズンを迎えて〝鉄紺軍団〟さらに結束 | 月陸Online|月刊陸上競技
「何か思考を変えるということがすごく大事だと思います。学生のうちは、失敗しても学びがあれば、経験値になる。ウチは勝って当たり前というチームではないので、毎年アップデートして新しいことをやっていくのもおもしろいかなと思っています」(東洋大・酒井監督)
↑の記事で印象に残った酒井監督のコメントです。
東洋大学は、出雲駅伝3位以内を目標にしていましたが、結果は9位でした。
しかし、今年のように新しい取り組みを始める時というのは、右肩上がりの一直線の成長ではなく、『N字型』の成長をたどっていくものだと私は考えています。
どういうことかというと、
何か新しいものを取り入れることで、最初は新鮮さも手伝って、いったんすぐに結果が上向く。
これが『N字』の最初の↗️の段階。
しかし、以前とは違うやり方をしていることで、段々と以前の価値観と現在の価値観とで矛盾する部分が生じて、ぎこちなさが出てくる。
(ランニングフォームの改造中とか、まさにこんな感じだと思います。)
これが『N字』の↘️の段階。
そこで踏ん張って、見つけた課題を一つずつ改善していくことで、新しく取り入れた物が、本当の意味で自分の物になっていく。
これが『N字』の最後の↗️の段階。
『N字成長』は、途中でいったん落ちる瞬間が訪れますが、それを乗り越えると、最終的にはスタート地点より高いところへ登ることができる。
まずは8/28の北海道マラソン、9/17のMDCで結果が出た。しかし、10/10の出雲駅伝では目標の3位以内に届かなかった。
今は新しい取り組みを自分の物にしている段階、パワーをためている時!
そう考えると、東洋大学の全日本・箱根がこれからもっと楽しみになってきますね!
次回はこの16人で区間予想をしてみたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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(鉄紺忍者も、始めたばかりのブログ更新を『N字成長』を信じて継続してみようっと!🤗 とりあえず1記事が長すぎるのでもうちょっと短くまとめられるようになりたい……本当は主なエントリー漏れの選手についても書こうとしたのですが長すぎるのでカットしました😅ここまで辿り着けた人いるのかな💦いたら本当にありがとうございます……⛄️💕)
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