【歴代通過タイム】東洋大学・箱根駅伝2区 編

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ごきげんよう、鉄紺忍者です。

今回から、東洋大学OBの当時のタイムを解析してみるという企画をやっていきます。

このシリーズはそれぞれ投稿するのではなく、気づいたら増やしていく方式にしていくので、お手数ですが気になる方は新たに追加がないかちょくちょくチェックしてもらえると嬉しいです。

掲載しているタイムは推定値を大いに含みます。参考程度にご覧ください。

(扱うデータは2009年以降とさせていただきます)

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第85回(2009年) 山本浩之選手(4年)

■持ちタイム・レース状況

学年:4年
10000m:28分55秒75
ハーフマラソン:1時間3分59秒

1年時から箱根駅伝に出場。

2区起用が濃厚とされていたエース・大西智也選手が万全でなく3区に回った関係で、白羽の矢が立った格好に。

ただし山本選手も、それまで全日本大学駅伝4区などのテクニカルコースを任されてきたタイプであり、箱根2区起用にも頷ける。

結果的に、レース中に故障を抱えながらの苦しい走りになってしまったものの、のちに東洋大学の箱根駅伝初優勝へと繋がった。

レース状況:https://www.ntv.co.jp/hakone/backnumber/85/sougou/020.html

この年の1区は、10km通過31分32秒の超スローペース。
翌年の1区がハイペース、その翌年が早稲田のスーパールーキー大迫選手登場ということで、実質的に「繋ぎの1区」最終年ともいえる。

東洋大学は、4年生・若松選手がトップとほぼ団子状態のまま、
0:18差8位で、山本選手にタスキを繋いだ。

トップとはわずか約100m差、特に2区の序盤には1号車の映像にも映り込んでいるという好位置であった。

■5km推定 14分42秒 (14’42)

【資料映像を探しています】

■10km推定 29分46秒 (15’04)

■15km推定 45分30秒 (15’44)

■20km推定 61分02秒 (15’32)

コースは下りに入っているが、ペースが上がらない。

■23.2kmフィニッシュ 1時間10分54秒 (9’52) 区間17位

足の状況を考えると、ラストの坂を9分52秒は驚異的な粘り。

区間ダイジェスト(2区)第85回箱根駅伝

第86回(2010年) 大津翔吾選手(3年)

■持ちタイム・レース状況

学年:3年
10000m:29分14秒66
ハーフマラソン:1時間4分12秒

前年は9区2位、持ち前の後半にかけてペースアップする安定感抜群の走りで、初優勝に貢献。

3年時は、全日本大学駅伝の最長区間8区アンカーを二年連続担うなど、スタミナエースの座を確立。
年明けの箱根駅伝では、酒井監督1年目の初代・花の2区に任命された。

レース状況:https://www.ntv.co.jp/hakone/backnumber/86/sougou/020.html

1区・宇野選手 (2年) がハイペースに食らいつき、
1明治・2早稲田・3専修・4学連選抜・5東洋の順。

鶴見中継所を5位でスタート。トップとは0:35差
(当時は学連選抜にも順位がついていた)

■5km推定 14分44秒 (14’44)

テレビ中継は序盤、1位明治大学のエース・石川選手と、2位早稲田大学・尾崎選手の4年生対決にフォーカス。

その際、後方は単独3位の専修大学までしか見えていない。
したがって、4-5位を走行中と思われる大津選手は、追い上げるまでには至っていない。

先行する石川選手が5km14:23とのアナウンス。この時代としては攻めた走り。
追う尾崎選手が5km14:29。徐々に離されるが、安定感がウリの選手としてはこちらも攻めた走りとなっている。

それに対して東洋大学・大津選手は、推定5km14:44
トップとは0:56差あたり。
まずは持ち味通り、落ち着いた入りとなったか。

■10km推定 29分36秒 (14’52)

横浜駅前8.2kmを通過。
3位集団5人のうち、最後尾に大津選手の姿を確認。

3学連(国士舘)・4専修・5山学・6城西・7東洋。
実質7位を走行中。少し離れて、後ろ8位が中央。
トップとは0:56差

先頭を行く明治・石川選手のペースが落ち着いてきており、ここはあまり差が変わっていない。

大津選手は序盤はいつも大胆に抑える独特の入りをするが、集団に吸収されてからは周りに合わせ少しペースが上がったと思われる。

先頭の明治・石川選手は10km29:07 (14’44) とのアナウンス。
東洋・大津選手の推定10kmは29:36
したがってトップとは1:05差あたりということになる。

■15km推定 45分06秒 (15’30)

13kmを通過。
いよいよ上り坂を迎えるというところ。

城西大学の4年生エース・高橋選手&山登り5区経験者の山梨学院大・高瀬選手が集団から抜け出し3位4位となる。
先ほどの集団にいた中では、専修大の姿が見えなくなっている。
大津選手は5位学連選抜(国士舘)に続く実質6位で、権太坂の上り坂へ突入する。

権太坂ヒルクライムの真っ只中、14.6km。

後ろ13位から猛追してきた日本大学・ダニエル選手に抜かれる。
元々集団の後方だったが、上り坂に入って集団から2秒ほど離された。
なんとか7位で権太坂をクリア。トップとは1:22差

■20km推定 60分11秒 (15’05)

まず、権太坂15.1km地点では2秒前を走っていた学連(国士舘)を下り坂で引き離し、6位浮上。

しかしそこへ青山学院大学・米澤選手、東京農業大学・外丸選手が追いついてきて、新たに三人の6位集団となる。

下り坂が終わり、19.4km。
いよいよ最後の戸塚の壁坂へ挑もうかというところへ、
東海大学のスーパールーキー・村澤選手が14位から一気に追いついてくる。

箱根新道合流地点の直前、戸塚の水色の跨線橋に入ったところ。
19.6kmで酒井監督の声かけが入る。

「はい、大津〜!まもなく20キロ。こっからお前の粘りだぞー!」

心なしか今よりも選手と距離を感じる声かけになっているのは、当時のマイクの音質か、あるいは監督1年目ということもあるだろうか。

その間に、村澤選手はあっという間に集団の先頭に出る。
先ほど追いついてきた二人も東洋・大津選手より余裕がありそうで、実質三人に抜かれた格好になり、一時9位となる。

■23.2kmフィニッシュ 69分49秒 (9’38) 区間10位

21.5km。
戸塚の上り坂がいったん下りに切り替わっている。
先ほど追い抜いていった東海・村澤選手は、なんと4位まで浮上。
そのすぐ後ろに、東京農業・早稲田・青山学院と続く。

さらにその5〜7秒後ろ、少し離れた8位には東洋・大津選手らしきシルエットが見えている。
これ以上離されないよう、なんとか食らいついている。

権太坂手前で集団を置いていった城西大学がいつの間にかペースダウンしたか、既に追い抜いた後だった。

23km。
戸塚中継所に選手が飛び込んでくる。

1位 明治大学・石川選手。首位をキープ。

2位 日本大学・ダニエル選手。0:40差。最後2位まで浮上。

3位 山梨学院大学・高瀬選手。0:56差。

4位 東海大学・村澤選手。1:15差。

5位 青山学院大学・米澤選手。1:19差。当時は「大健闘」との実況。

6位 東京農業大学・外丸選手.1:24差。

7位 東洋大学・大津選手。1:28差

8位 早稲田大学・尾崎選手。1:30差。

中継所直前で早稲田をかわしていた。

しかも箱根新道合流地点の20km直前でかわされた、4位の村澤選手とも結局14秒しか離されず粘った。

留学生やスーパーエースの群雄割拠の中、結果的に順位を5位→7位と二つ下げるだけに耐えた。
5区山登りの柏原選手を活かす「繋ぎの2区」役としては最高の働きを果たした。

序盤かなり抑えて入り、終盤にペースダウンしてきた選手を一人ずつ拾っていく走りは、まさに大津選手の真骨頂が発揮されていた。

カーボンプレートシューズ全盛の現代ではあまり成立しない走り方の為、今となっては絶滅危惧種となっているタイプである。

とはいえ、さすがに箱根2区のスピードコースでは、大津選手も5km15分台の入りはしなかった。

区間ダイジェスト(2区)第86回箱根駅伝

第87回(2011年) 設楽啓太選手(1年)

■持ちタイム・レース状況

学年:1年
10000m:28分52秒22
ハーフマラソン:記録なし

1年生にして、11月の全日本大学駅伝で1区区間賞を獲得。
当時は14.6kmと全区間で2番目に長く、アップダウンもさらに多いコースだった。

この時期の東洋大学において、柏原選手が山のエースだとすれば、設楽啓太選手は平地のエース

そして東洋大学の1年生での箱根2区抜擢は、ちょうど十年後の松山選手まで現れない。

レース状況:https://www.ntv.co.jp/hakone/backnumber/87/sougou/020.html

1区・川上選手選手 (3年) からタスキを受ける。
二年前の初優勝時と同じ区間8位であったが、トップまでのタイム差が今度は2:01とかなり開いている。
早稲田大学のスーパールーキー・大迫選手が5kmで飛び出し、これだけの差をつけてしまったのだ。

■5km推定 14分30秒 (14’30)

「東海大学の村澤が12人をごそっと抜いていきました(うわぁ)」の有名なシーン。

この抜かれる集団の中に啓太選手もつけており、6位〜14位の中で推移している。

■10km推定 29分04秒 (14’34)

啓太選手の推定10kmが29:04
東洋大学と全体のレベルが上がって、一気に時代が進んだ印象を受ける。

ただし啓太選手は15km以降の下りで稼ぐ傾向にあるため、
現代でよく耳にするようになった「10km28分台」の通過を観測できるのはもう少し先となる。
(4年後の91回大会・勇馬選手3年時以降)

実はこの年からは10km通過のタイム差がわかる超貴重映像が毎年投稿されている。
おかげで、87回大会から筆者の2区10km推定タイムの精度が格段に向上している。
映像:10km過ぎ

啓太選手は依然として集団でレースを進める。

■15km推定 44分03秒 (14’59)

1位早稲田大学・平賀選手(2年)が、
52秒差まで迫る2位日本大学・ベンジャミン選手(2年)から逃げ切れるか、
という攻防が続いている。

そこからかなり離れて2:11差で3位4位が続く。
東海大学の村澤選手が、拓殖大の留学生マイナ選手を抜く。

さらに後ろから
5位 明治大学・鎧坂選手(3年)
6位 東洋大学・設楽啓太選手(1年)
7位 青山学院大学・出岐選手(2年)
が迫っている。

先頭の早稲田大学・平賀選手は、15km43:33で通過。
対する東洋大学・設楽啓太選手は、15km推定44:03
この時点で既に前年より1分速い。
トップとは2:31差あたり。

集団と追い風の力を借りて、権太坂の登りに入っても14分台のペースを維持している。

■20km推定 58分40秒 (14’37)

16km。
啓太選手の得意な下り坂が始まっている。
先ほどまで同じ集団にいた鎧坂選手が、マイナ選手まで追いつき4位浮上。

その後ろ、もう7秒差のところに6位東洋・啓太選手、7位青学・出岐選手が追い上げてきている。

18.5km。
下り坂が終わりフラットな道に変わる。
前を追う二人の若手、出岐選手・啓太選手が映し出される。

「5区の柏原にタスキが渡るまでに2分、いや2分30秒くらい(のビハインドで抑えれば)勝てますかね……」
という酒井監督の談話も紹介される。

柏原選手は過去二年、4:58差・4:26差をそれぞれ逆転し、さらに差をつけてゴールしている。

■23.2kmフィニッシュ 68分09秒 (9’29) 区間7位

20.4km。
ラスト3kmの壁のような戸塚の坂が始まっている。

4位は鎧坂選手。その後ろ4秒差で後続も追ってきている。

出岐選手だけは5位マイナ選手まで追いついたが、
啓太選手はここであと一歩追いつけず苦しい。

実は、各校の監督たちがここで任意の給水を出し、
次々とラストスパートをかけさせる声掛けをしているのだが、

東洋大学の運営管理車が後方で順番待ちとなってしまい、
給水がまだ来ていないのだ……!

映像:21km付近

23km。
戸塚中継所に選手が飛び込んでくる。
1位 早稲田大学・平賀選手。
2位 日本大学・ベンジャミン選手。0:13差。

そして
3位 東海大学・村澤選手。1:33差。17人抜き

4位 明治大学・鎧坂選手。1:55差。
5位 青山学院大学・出岐選手。2:11差。
6位 東洋大学・啓太選手。2:20差
7位 拓殖大学・マイナ選手。2:25差。

ラストの追い上げで6位に浮上。
さすがに最後は苦しくなったものの、
初挑戦しかも1年生にして 68分09秒という好タイムをマークした。

啓太選手は以後、三年連続で2区を務めることになる。

区間ダイジェスト(2区)第87回箱根駅伝

第88回(2012年) 設楽啓太選手(2年)

■持ちタイム・レース状況

学年:2年
10000m:28分46秒80
ハーフマラソン:記録なし

レース状況:https://www.ntv.co.jp/hakone/backnumber/87/sougou/020.html

1区・宇野選手 (4年) からタスキを受ける。

この年は、前年に1区で2分のリードを作った早稲田大学の大迫選手に対し、
各校が「大迫対策」として有力選手を1区に持ってきた。

結局それでも大迫選手は危なげなく二年連続の1区区間賞を獲得するのだが、
2位〜9位まで1:00差以内の混戦となった点は、前年との大きな違いである。

東洋大学は4位、トップと0:31差という好位置で、
2区のエース・設楽啓太選手へタスキが繋がった。

■5km推定 14分32秒 (14’32)

啓太選手の入りの1kmは2:47と、快調なペース。

駒澤大学の1年生・村山謙太選手
日本体育大学の2年生・本田選手
城西大学の4年生・橋本選手
2位グループを形成しトップを追っていく。

この集団の中で一番積極的なのは村山選手。
入学時から既に28分23秒という、
現代でもいないような入学時のタイムを持っており、
序盤から勝ち気に追っていく姿勢を見せている。

しかし、運営管理車の駒澤大学・大八木監督からは
「引っ張らされてんじゃん」と注文がついている。

確かに、啓太選手には無理して追う様子は見られない。
そこは前年2区での集団走で成功体験があるからだろう。

結果的に、ルーキーの積極性を利用させてもらう形となったか。

■10km推定 29分08秒 (14’36)



映像:10km過ぎ

【続き・執筆中】

■15km推定 44分28秒 (15’20)

■20km推定 58分39秒 (14’11)

■23.2kmフィニッシュ 68分04秒 (9’25) 区間2位



区間ダイジェスト(2区)第88回箱根駅伝





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ラップタイムの過去と未来を推定!
例えば中継を見ながら8kmの通過タイムがわかったとして、それを入力すると「手前の5kmはこれくらいで来たんだろう」「この先の10kmはどれくらいで行くでしょう」という推定が出せます。

参考にさせていただいた動画はこちらにまとめています。



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