タイム解析・第99回箱根駅伝2023【13位 帝京大学編】

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帝京大学のチーム詳細

帝京大学のユニフォーム:
上が「ファイアーレッド」、下が白色

帝京大学の監督:
中野 孝行(なかの たかゆき)監督

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(選手名で目立った検索はありませんでした。「監督」や「新入生」についての検索が多いようです)






帝京大学の主な大会成績結果

2022年10月 箱根駅伝予選会:前年シードにより免除
2022年10月 【出雲駅伝】:11位
2022年11月 【全日本大学駅伝】:不出場
2023年01月 【箱根駅伝】:13位
2023年06月 全日本大学駅伝関東地区選考会:6位(7位圏内=予選通過!)

2023年10月 箱根駅伝予選会:?位

帝京大学の箱根駅伝タイム解析(2023)

このブログに掲載するデータには、映像資料等をもとに鉄紺忍者( @tetsukontasukiw )自作のラップタイム試算ツールLAPTAによって算出した「推定タイム」を含みます。基本的な整合性の確認は行なっておりますが、正確性を保証しているわけではありません。このサイトによって生じた損害・トラブルに付きましては一切責任を負えませんのでご自身の自己責任で閲覧いただきますようお願い申し上げます。

帝京大学 1区 小野 隆一朗(3年)
個人 全体平均
05km 15分19秒 ①
15’19 ①
15分19秒
15’19
10km 30分19秒 ①
15’00 ①
30分19秒
15’00
15km 44分59秒 ①
14’40 ①
44分59秒
14’40
20km 59分34秒 ⑯
14’35 ⑯
59分25秒
14’26
スパート 3’56 ⑪ 3’55
21.3k 63分30秒 ⑯ 63分20秒
北海道・北海道栄高 出身
10000mベスト / 予想リザルト
28:50.22 / 63:31 ⑯
ハーフマラソンベスト / 予想リザルト
1:02:56 / 63:07 ⑨

・ここで初めて、前年シード校を扱います。全体的に選手のレベルもこのあたりでグッと上がってくるのを、ペース配分から見てとれます。

・今回、総合13位だった帝京大学。出雲駅伝11位と関東以外の大学からも遅れるなど苦戦がありましたが、全日本大学駅伝が無かった分、箱根駅伝に向けてバッチリ走り込んできて、さぁどうか、というところだったかと思います。

・小野選手は、2年連続での1区起用となりました。前回は区間8位の 61分51秒 という好タイムをマークしましたが、今回は18kmの六郷橋のところで遅れ始めてしまう苦しい展開に。

・しかしそれ以降、順位を下げることなく鶴見中継所まで16位で耐えてのタスキリレーとなりました。チームとしてはまず最初の誤算だったかもしれません。






帝京大学 2区 西脇 翔太(3年)
個人 全体平均
05km 14分42秒 ⑳
14’42 ⑳
14分16秒
14’16
10km 29分36秒 ⑲
14’54 ⑱
28分52秒
14’36
15km 44分58秒 ⑲
15’22 ⑰
44分01秒
15’09
20km 59分40秒 ⑯
14’42 ⑩
58分49秒
14’48
スパート 9’33 ⑯ 9’29
23.1k 69分13秒 ⑰ 68分18秒
愛知・名経大高蔵高 出身
10000mベスト / 予想リザルト
28:57.21 / 70:02 ⑱
ハーフマラソンベスト / 予想リザルト
1:02:25 / 68:01 ⑩

・前年まで在籍していた3区の遠藤大地選手、5区の細谷翔馬選手ら主力が抜け、この年の帝京大学は総合力で勝負というチームだったと思います。

・その中でエース区間・2区を任されたのは、3年生の西脇選手でした。

・前年の2年時に箱根10区を走っています。帝京大学の10区は渋くて強い選手が多いですよね。いま実業団でマラソンで活躍中の星選手も、2年時に10区区間賞→3年4年はエース2区という流れでした。

・順位としては、16位→17位。序盤に後ろから来た東海大学の石原選手にかわされた他は、順位を落とさずにキープできました。

・ただ、道中しばらく前後にランナーがおらずポツンと一人旅になったのは、走りやすい状況ではありませんでしたね。1区の出遅れが2区にも響いてしまった形です。

・戸塚中継所にたどり着いた時点でも、ひとつ前16位の城西大学は44秒差。見えないこともないですが、おいそれと追いつくことはできない距離にいます。






帝京大学 3区 小林 大晟(2年)
個人 全体平均
05km 14分25秒 ⑱
14’25 ⑱
14分15秒
14’15
10km 29分05秒 ⑲
14’40 ⑱
28分42秒
14’27
15km 44分20秒 ⑱
15’15 ⑯
43分47秒
15’05
20km 60分03秒 ⑰
15’43 ⑯
59分02秒
15’15
スパート 4’08 ⑰ 4’04
21.4k 64分12秒 ⑰ 63分06秒
長崎・鎮西学院高 出身
10000mベスト / 予想リザルト
28:43.71 / 62:56 ⑭
ハーフマラソンベスト / 予想リザルト
1:05:02 / 64:16 ⑰

・3区は2年生の小林選手。秋の記録会で10000m自己ベストをチームトップの 28分43秒 に更新した、勢いのある選手。

しかし、結果的に高速区間の2区3区続けて、10キロ28分台で入れていないのは痛手です。

・21キロトータルの粘り強さが光る帝京大学ですが、シード圏内を狙うとなると、今回は他のチームとは「スピード」の差の分、置いていかれる形になってしまいました。

・前の城西大学のキムタイ選手が中盤から徐々にギアを入れ始めて、いよいよ目標物がなくなってしまったのも不運でした。

・終盤には後ろ17位から、東洋大学で同じ学年同じ苗字の小林(亮太)選手が追いついて来ましたが、対応できず。

・順位は16位→17位に。






帝京大学 4区 柴戸 遼太(1年)
個人 全体平均
05km 14分39秒 ⑭
14’39 ⑭
14分31秒
14’31
10km 29分38秒 ⑬
14’59 ⑪
29分29秒
14’58
15km 44分24秒 ⑪
14’46 ⑧
44分30秒
15’01
20km 59分53秒 ⑫
15’29 ⑬
60分00秒
15’30
スパート 2’58 ⑫ 2’59
20.9k 62分52秒 ⑫ 62分59秒
大分・大分東明高 出身
10000mベスト / 予想リザルト
29:00.47 / 63:35 ⑭
ハーフマラソンベスト / 予想リザルト
1:05:34 / 64:18 ⑰

・予想タイムを大きく上回った走りを見せたのが、4区のルーキー柴戸(しばこ)選手でした。

・特に10km以降あたりからリズムを掴んできたのか、どんどん良くなっていきます。

・15kmではついに平均タイムに勝ち始めました。順位を落としてきていた国士舘大学、日本体育大学、と順番に拾っていき、18km小田原に入る頃には東洋大学も射程にとらえます。

・前はマラソンでMGC獲ってる選手だぞ!と中野監督の声掛けも加速します。東洋ファンとしても、おうおう、いつの間に後ろが結構近くまで来ているな、という感じでした。

・順位を17位→15位に上げ、5区山登りの新井選手にタスキリレーです。







帝京大学 5区 新井 大貴(4年)
個人 全体平均
05km 15分56秒 ⑪
15’56 ⑪
15分54秒
15’54
10km 34分46秒 ⑩
18:49 ⑪
34分40秒
18’46
15km 53分55秒 ⑨
19:09 ⑧
54分07秒
19’27
20km 70分14秒 ⑧
16:19 ⑧
70分53秒
16’46
スパート 2:18 ⑨ 2’20
20.8k 72分33秒 ⑧ 73分13秒
群馬・前橋育英高 出身
10000mベスト / 予想リザルト
30:03.91 / 76:09 ⑱
ハーフマラソンベスト / 予想リザルト
1:03:30 / 72:09 ⑦

・5区の新井選手は4年生。1学年上に在籍していた山登りのスペシャリスト・細谷翔馬さんの影に長らく隠れていましたが、最終学年にしてようやく箱根駅伝に登場です。

・山専用で準備してきたのでしょうね、初めて走るとは思えないほど完璧なペース配分で、持っている走力を最大限に発揮しています。

・データを見る限りでも、かなり完成度が高いクライマーに仕上がっていたことがよく伝わってきます。コースも相当研究してきていたのではないでしょうか。

・順位は15位→14位で、1日目・往路芦ノ湖FINISHです。上がった順位こそ1つですが、後ろは1分離して、さらに前には13位・12位も狙える位置まで持ってきています。






帝京大学 6区 山田 一輝(4年)
個人 全体平均
05km 17分14秒 ⑱
17’14 ⑱
16分47秒
16’47
10km 30分31秒 ⑰
13’17 ⑭
30分04秒
13’17
15km 44分20秒 ⑯
13’49 ⑯
43分37秒
13’33
20km 58分31秒 ⑯
14’11 ⑭
57分51秒
14’14
スパート 2’27 ⑮ 2’26
20.8k 60分58秒 ⑯ 60分17秒
佐賀・白石高 出身
10000mベスト / 予想リザルト
29:31.05 / 60:43 ⑯
ハーフマラソンベスト / 予想リザルト
1:03:09 / 58:55 ③

・5区山登りに引き続き、下りの6区も4年生山田選手です。復路2日目、さっそく下りから反撃開始と行きたいところでした。

・序盤の登りは抑えて、下りから勝負という作戦だったのだろうなと推測します。

・確かに下りが始まると平均ペースあたりまで上がっています。ところが、後ろから復路一斉スタート組の大東文化大学、専修大学、さらには山梨学院大学、日本体育大学にも抜かれてしまいました。

・チーム総合タイムとしてはまだ彼らにも勝っているので、落ち着いて走っていってほしいところですが、調子は狂ってしまったかもしれません。

・小田原中継所まで総合14位はなんとかキープしましたが、シード権までのタイム差が3分05秒差→3分38秒差と広がってしまいました。






帝京大学 7区 北野 開平(4年)
個人 全体平均
05km 14分36秒 ⑪
14’36 ⑪
14分34秒
14’34
10km 29分55秒 ⑪
15’19 ⑪
29分51秒
15’17
15km 45分26秒 ⑯
15’31 ⑯
45分07秒
15’16
20km 60分44秒 ⑰
15’18 ⑰
60分14秒
15’07
スパート 4’15 ⑳ 3’59
21.3k 64分59秒 ⑰ 64分13秒
兵庫・須磨学園高 出身
10000mベスト / 予想リザルト
29:04.83 / 64:03 ⑪
ハーフマラソンベスト / 予想リザルト
1:02:40 / 63:05 ④

・7区にキャプテンの北野選手が登場です。前半はまず10km30分で入り、さあここから勝負というところでした。

・前に見えていた4チームのうち、溢れてきた専修大学はかわしましたが、もう3チーム、山梨・日体・大東の分厚い壁が立ちはだかります。

・1対3、集団走のパワーの分、なかなか落ちてきてくれません。すると10km以降、帝京大学のほうは徐々に平均ペースから遅れる形に。

・ラスト3kmでは、後ろから猛スパートをかけてきていた立教大学の服部選手にかわされながら、平塚中継所へ駆け込みタスキリレー。

・総合順位では、6区で見た目の順位上抜かれた山梨学院大学に、ついにタイム上でも逆転を許してしまいました。

・これで総合順位は14位→15位に。






帝京大学 8区 山中 博生(2年)
個人 全体平均
05km 14分26秒 ②
14’26 ②
14分46秒
14’46
10km 29分26秒 ②
15’00 ⑤
30分00秒
15’14
15km 44分36秒 ④
15’10 ⑩
45分17秒
15’17
20km 60分30秒 ⑦
15’54 ⑮
61分09秒
15’52
スパート 4’21 ⑪ 4’22
21.4k 64分52秒 ⑥ 65分31秒
滋賀・草津東高 出身
10000mベスト / 予想リザルト
29:20.51 / 65:54 ⑮
ハーフマラソンベスト / 予想リザルト
— / —

8区は山中選手。この記事を書くに当たってビックリしたのが、山中選手がハーフの記録持っていなかったことです。

・8区の前半10kmを29分26ですか。なんというか、走りっぷり、思い切りが良いと言いますか。この辺の堂々とした感じがとてもハーフ未経験の選手とは思えなかったんですよね。

・確かにオーバーペース気味と言われればそうなんですが、後ろの中野監督の声かけも良いぞ良いぞという感じでしたし、最後もペースダウンしたとはいえ区間6位にまとめていますから上出来です。

・ここでようやく前年の出雲駅伝に起用した選手を配置できました。そう考えると、帝京大学はかなり苦しい中でやりくりしていますね。

・4区を走った1年生の柴戸選手、そしてこの8区の2年生山中選手は下級生で箱根駅伝を経験できました。そして今回出場できなかった2年生の福島選手、1年生の藤本選手、尾崎選手あたりもレース経験を積んでいて、来年度には揃ってきそうな雰囲気です。

・総合タイムでは15位→14位に復帰。見た目上では、立教大学、東海大学、大東文化大学の3チームを抜きました。そして前にも日本体育大学、山梨学院大学が見えています。






帝京大学 9区 末次 海斗(3年)
個人 全体平均
05km 14分32秒 ⑩
14’32 ⑩
14分32秒
14’32
10km 29分42秒 ⑮
15’10 ⑰
29分36秒
15’04
15km 44分51秒 ⑮
15’08 ⑮
44分35秒
14’59
20km 60分21秒 ⑮
15’29 ⑮
60分06秒
15’31
スパート 9’35 ⑪ 9’41
23.1k 69分57秒 ⑮ 69分47秒
佐賀・鳥栖工業高 出身
10000mベスト / 予想リザルト
29:31.83 / 72:13 ⑱
ハーフマラソンベスト / 予想リザルト
1:03:59 / 69:49 ⑬

・9区は3年生の末次選手。出雲駅伝の5区→6区が、箱根駅伝の8区→9区のタスキリレーとなりましたね。

・出雲でアンカーを任されていますから、やはりスタミナを買われての箱根9区起用なのでしょう。

・特に前半5kmを果敢に攻めていき、14kmの横浜駅までには、前の日本体育大学との並走から溢れてきていた山梨学院大学に追いつきます。山梨学院大学は一斉スタートの繰り上げタイムが加算されていますので、追いついたということは、タイム上では抜いたということになります。これで14位→13位。

・しかしライバルは後ろからも来ました。帝京大学に、東海大学大東文化大学が協力して追いついてきました。東海大学は一斉スタート組ではないので、タイム上でも帝京大学と全くの同タイム(13位)で並んでいることになります。

・末次選手は、鶴見中継所までのラストスパートでわずかに抜け出します。東海大学にも1秒勝って、単独13位でアンカー日高選手へとタスキリレーしました。






帝京大学 10区 日高 拓夢(3年)
個人 全体平均
05km 14分53秒 ⑬
14’53 ⑬
14分52秒
14’52
10km 30分10秒 ⑯
15’17 ⑭
30分06秒
15’14
15km 45分42秒 ⑯
15’32 ⑮
45分35秒
15’29
20km 60分55秒 ⑭
15’13 ⑩
60分57秒
15’22
スパート 9’28 ② 9’53
23.0k 70分23秒 ⑫ 70分50秒
大分・鶴崎工業高 出身
10000mベスト / 予想リザルト
29:19.03 / 71:12 ⑭
ハーフマラソンベスト / 予想リザルト
— / —

・10区は日高選手。1・2・7区以外は全て初出場、この日高選手もそうでした。

・登場人物は9区と変わらず。帝京大学東海大学大東文化大学が集団で、後ろに山梨学院大学がいます。

・ここで強敵だったのが、大東文化大学の4年生谷口選手・山梨学院大学の4年生篠原選手でした。

・まず3人グループを大東文化大学が先に抜け出します。帝京大学東海大学のところに、後ろでしばらく静かだった山梨学院大学がついに追い上げてきました。

・最終10区はいよいよ20kmを過ぎ、東京のビル街へと帰ってきます。

・総合タイム上では、帝京大学は13位、山梨学院大学は繰り上げタイムを足して14位。ここで山梨学院大学を先に行かせてしまうと、タイム上でも13位の位置が危うくなってしまいます。

・ここで日高選手は、ラスト3キロ推定9分28秒、区間2位ペースのラストスパートを繰り出します。ここはハーフマラソン以上の距離ということでスタミナが限界ですし、ビル風の影響で3キロ9分30を切れる選手は21チーム中ほとんどいません。

帝京大学は最後、山梨学院大学をわずかに引き離して、13位を守り切りました。後ろの篠原選手は全体区間5位のタイムで追い上げてきていたんですね。

・中野監督がよく言葉にされている「世界一諦めの悪いチーム」を体現した走りだったのではないでしょうか。同時に、この悔しさは、次回2024年の箱根駅伝で晴らしていけるか注目です。

・予選会からのスタートになりますが、今年6月の全日本大学駅伝選考会での予選突破に引き続き、総合力で危なげなく勝ち上がってくるだろうと見ています。




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