※この文章は実況中継を模したフィクション作品です。実在の団体・人物への敬意をもって、物語表現の一部として記載しています。
2026年1月2日。第102回箱根駅伝の日。
東洋大学の大ファンである俺は、前夜から興奮しすぎて眠れなかった。
そのせいで――なんと夜9時過ぎに目が覚める(?)という、大大大寝坊をかましてしまった。
「や、やらかした……!」(某I西くん風の言い方で)
はぁ。あんなに一年間楽しみにしていたのに……。
半分終わっちまってる。頭を抱える俺。
ダメ元でテレビをつけると、すでに今日のダイジェスト番組の時間。
画面には、4区の映像が流れていた。
そのとき、画面が1号車の中継に切り替わる。
「東洋大学の緒方が出ました!」
はっ……!?
思わず目と耳を疑ってしまった。
そこには、東海道の松並木を駆ける鉄紺のユニフォーム。
東洋大学が、”先頭” を走っている――!?
応援しているチームなのに、その姿にまず驚いてしまった。
ゴメンゴメン。信じていなかったわけじゃないんだ。
でも、近年の東洋は苦戦続きだったし、
全日本大学駅伝の出場を逃したときは、本当にショックだった。
それでも、俺の【鉄紺愛】が冷めることはなかった。
きっかけは、高校生の頃に見た、山の神・柏原さんの大逆転劇。
「もしまた今の時代に優勝争いが見られたら、喜びすぎてジェット風船みたいに飛んでいくんじゃないか?」
それほどまでに願ってきた場面が、今まさに目の前で繰り広げられている。
東洋大学、7年ぶり8回目の往路優勝!!!
おいおい、そのまま往路勝っちまったよ……。
(なんでリアタイで見てないんだよ、俺)
というか、往路メンバーは誰が走ったんだ? タイムは? 区間順位は?
残念ながら、調べたいのにスマホをつかめない。
俺の両手は、なぜかアップルパイになっていたからだ。
(皮めっちゃポロポロ)
あぁ――
そこで俺はようやく、これは夢だと気づいた。
けれど、そんなことはどうでもよかった。
夢だっていい。いや、これが予行演習になればいいじゃないか。
今はただ、画面の中の「俺が見たかった箱根駅伝」を
心ゆくまで、味わい尽くすんだ!
よし。このまま、翌日の復路の夢も見ることにしよう。
6区・内堀 勇 (2年)
3、2、1。スタート!!!
昨日、往路優勝の東洋大学。
8区を倉本、9区をキャプテンの網本に変更。
逃げ切りを図ります。
内堀君は最初の1キロを2分50秒で通過。
よしよし、まずは良いペースだぞ。
そのまま快調に飛ばし、トップをキープしたまま小田原に入ってきた。
そのタイムはなんと、58分02秒!
おおお……これは、すごいぞ……!
去年から「山下りを走りたい」と言っていただけあって、
やっぱり下りがめちゃくちゃ上手かった!
しかも今年は、トラックのスピードにも磨きがかかってたもんなぁ……
文句なしの快走だ、内堀くん!
トータルリザルト
04.8km 15:49 (芦之湯)
09.0km 26:31 (小涌園前)
13.4km 37:52 (大平台)
17.0km 47:07 (函嶺洞門)
01km 02分50秒 (2’50”)
02km 05分45秒 (2’55”)
03km 09分34秒 (3’49”)
04km 13分11秒 (3’37”)
05km 16分02秒 (2’51”) +16’02”
06km 18分49秒 (2’47”)
07km 21分32秒 (2’43”)
08km 24分04秒 (2’32”)
09km 26分31秒 (2’27”)
10km 29分03秒 (2’32”) +13’01”
11km 31分40秒 (2’37”)
12km 34分13秒 (2’33”)
13km 36分52秒 (2’39”)
14km 39分26秒 (2’34”)
15km 42分06秒 (2’40”) +13’03”
16km 44分52秒 (2’46”)
17km 47分24秒 (2’32”)
18km 50分10秒 (2’46”)
19km 53分01秒 (2’51”)
20km 55分43秒 (2’42”) +13’37”
20.8km 58分02秒 (2’19”) +2’19”
7区・薄根 大河 (3年)
逃げる先頭の東洋大学。
7区は薄根大河、3年生。
1kmが2分43秒。3kmが8分32秒で入りました。
9区10区に登場するかと思っていたけど、7区とは意外だったな。
最初は下り坂だからな。
全然オーバーペースじゃない。良い走りだ。
先頭の薄根くんが、10km通過29分13秒ですから。
非常に良いペースですよね。
うんうん。
スタミナタイプだから、スパートにそこまで残さなくていい分、
このまま速いペースで押して貯金作っていこうな。
さあ、いよいよ、7区も終盤!
先ほど、運営管理車の酒井監督から。
いいか、強い時の東洋大学は、7区で区間賞を取っている。
だからこそ薄根を起用したんだ。
全日本の悔しさをここにぶつけよう。と、声がかかります。
ラスト3kmになって、監督の声掛けにも熱が入っているな!
前回は10区アンカーで、4校のシード争い。
無事9位でゴールした後は、「怖かった」と、安堵感とともに崩れ落ちました。
鉄紺とはひたむきさ、実直さ。
そのタスキが見事、今年は一番最初に平塚中継所へ運ばれてまいりました。
待ち受けるは、8区・倉本晃羽。
ここまで力を尽くした薄根大河から、3年生同士のタスキ渡し。
東洋大学、2019年以来7年ぶり、トップでタスキリレー!
復路平塚中継所、鉄紺のタスキが、先頭で走り出していきました!
トータルリザルト
11.6km 34:06 (二宮)
18.4km 54:31 (大磯)
01km 02分43秒 (2’43”)
02km 05分39秒 (2’56”)
03km 08分32秒 (2’53”)
04km 11分24秒 (2’52”)
05km 14分19秒 (2’55”) +14’19”
06km 17分15秒 (2’56”)
07km 20分14秒 (2’59”)
08km 23分11秒 (2’57”)
09km 26分15秒 (3’04”)
10km 29分13秒 (2’58”) +14’54”
11km 32分16秒 (3’03”)
12km 35分15秒 (2’59”)
13km 38分22秒 (3’07”)
14km 41分23秒 (3’01”)
15km 44分23秒 (3’00”) +15’10”
16km 47分22秒 (2’59”)
17km 50分22秒 (3’00”)
18km 53分30秒 (3’08”)
19km 56分34秒 (3’04”)
20km 59分31秒 (2’57”) +15’08”
21km 62分25秒 (2’54”)
21.3km 63分18秒 (0’53”) +3’47”
8区・倉本 晃羽 (3年)
8区 10km過ぎ 辻堂駅を通過
先頭をひた走ります、東洋大学。
8区を任されましたのは、3年生の倉本晃羽。
三重県の伊賀白鳳高校出身。
11kmの通過が、32分40秒。
これ渡辺さん、区間記録を13秒上回るペースではありますが、いかがですか?
【参考】区間記録:小松 陽平 (東海大/2019) 11km 32分53秒
そうですね。
この区間を勝負所と見て、ハーフマラソン62分台の選手を置いてきているわけですよね。
6〜7km 3:00
7〜8km 2:59
8〜9km 3:02
9〜10km 3:01
10〜11km 3:01
これが初めての箱根駅伝ですが、なんという堂々たる走りでしょう。
8区 15km過ぎ 藤沢駅を通過
前回は、この8区15km地点で仲間に水を渡す、給水係だったと言います。
去年走れなかった8区、今、懸命に両の腕を振りまして、
今度は自らの脚で、立ちはだかる遊行寺の坂を駆けのぼっていきます。
おぉ、非常に力強い表情です。東洋の倉本。
はい。
やっぱり東洋大学は今回、11月の全日本大学駅伝の出場を逃してしまった悔しさがあって。
秋は徹底的に質の高い練習を積んできたと、酒井監督も話していましたから。
スタミナの面ではもう申し分ない、と思うんですが。
15km過ぎの遊行寺坂の走り次第で、1分くらい変わってきますので、本当にここからが大事ですよね。
トータルリザルト
06.7km 19:53 (茅ヶ崎)
15.6km 46:33 (遊行寺坂)
18.4km 55:22 (影取)
01km 02分51秒 (2’51”)
02km 05分46秒 (2’55”)
03km 08分35秒 (2’49”)
04km 11分35秒 (3’00”)
05km 14分36秒 (3’01”) +14’36”
06km 17分32秒 (2’56”)
07km 20分32秒 (3’00”)
08km 23分31秒 (2’59”)
09km 26分33秒 (3’02”)
10km 29分34秒 (3’01”) +14’58”
11km 32分35秒 (3’01”)
12km 35分39秒 (3’04”)
13km 38分37秒 (2’58”)
14km 41分39秒 (3’02”)
15km 44分39秒 (3’02”) +15’05”
16km 47分45秒 (3’06”)
17km 41分04秒 (3’19”)
18km 54分06秒 (3’02”)
19km 57分08秒 (3’02”)
20km 60分11秒 (3’03”) +15’32”
21km 63分19秒 (3’08”)
21.4km 64分30秒 (0’71”) +4’19”
9区・網本 佳悟 (4年)
東洋のキャプテン網本佳悟、間もなく3キロを通過します。
手元の時計で……、8分19秒。
下りもありましたが、この1キロ、2分48秒。
2区の戸塚の壁を、序盤は逆に下っていくとはいえ、凄く良いペースだぞ。
いやあ、キャプテンが9区に残っているこの安心感よ。
先頭は横浜駅前を通過して、今、声をかけている酒井監督です。
「さぁー、網本。15km43分46秒。この5km14分37秒。今、区間5番くらいです。ただ、上ともそんなに変わらないから。東洋大学記録と、去年取れなかった区間賞を取りに行こう!」
おうおう、覚悟の決まった良い表情だ。
ここで優勝を決めるぞ!
最後の箱根駅伝、今、鶴見橋に差し掛かりまして、タスキを取りました。
新チーム発足時に、酒井監督から
「キャプテンとしてやってくれないか」と打診され、任されました。
キャプテンの経験はありませんでしたが、
任されたからにはしっかりチームを引っ張っていこうと、覚悟を決めたそうです。
さあ、いよいよ鶴見中継所!
待ち受けるのは、3年生・久保田琉月。
両手を上げてチームメイトの名前を呼びます。
一意専心、質実剛健。
先頭を守りきったキャプテン網本佳悟から、
東洋大学、復活を告げるタスキリレーです!!!
トータルリザルト
07.7km 22:24 (権太坂)
14.5km 42:03 (横浜駅前)
20.2km 59:37 (生麦)
01km 02分36秒 (2’36”)
02km 05分27秒 (2’51”)
03km 08分20秒 (2’53”)
04km 11分11秒 (2’51”)
05km 14分03秒 (2’52”) +14’03”
06km 17分05秒 (3’02”)
07km 20分12秒 (3’07”)
08km 23分22秒 (3’10”)
09km 26分17秒 (2’55”)
10km 29分09秒 (2’52”) +15’06”
11km 31分59秒 (2’50”)
12km 34分51秒 (2’52”)
13km 37分47秒 (2’56”)
14km 40分44秒 (2’57”)
15km 43分46秒 (3’02”) +14’37”
16km 46分40秒 (2’54”)
17km 49分41秒 (3’01”)
18km 52分45秒 (3’04”)
19km 55分47秒 (3’02”)
20km 58分54秒 (2’57”) +15’08”
21km 62分03秒 (3’09”)
22km 65分11秒 (3’08”)
23km 68分07秒 (2’56”)
23.1km 68分26秒 (0’19”) +9’32”
10区・久保田琉月 (3年)
栄光のフィニッシュテープを目指します。
東洋大学の10区アンカー、これが初めての箱根駅伝になります。
3年生の久保田琉月。
高校は埼玉の駅伝名門校、埼玉栄高校の出身。
10kmの通過が29分41秒でした。
去年10区の15kmで給水してたもんなー。
走れてよかったなー。
第102回箱根駅伝。
4区緒方で先頭奪取、そこからずっと先頭を守り抜いてきました。
今、三越前、最後のカーブを曲がります。
母校の襷を、先頭で、大手町に運ぼうとしています。
おお、ガッツポーズだ。
残り1キロで監督を乗せた運営管理車が離れますが、
そこに向かって、右の拳を高々と上げました。
自らを鼓舞する意味もあるでしょう。
残り1キロ、持てる力を出し尽くします。
前回、東洋大学は9位でした。
シード権を落としてしまうかもしれない、そんな恐怖と戦っていたチーム。
そこから選手たちは奮起しました。
そしてなんと今年、先頭で大手町に帰ってきました。
思い返せば、17年前の2009年。
奇しくも、第85回箱根駅伝の初優勝時にも、胸には、前年9位チームを意味する、9から始まるゼッケンを付けていました。
12年ぶり、待ち望んだ、箱根駅伝総合優勝は、もう目の前です!
チームメイトと、東洋大学・酒井監督が、待ち受ける中。
これが鉄紺の結束!
見えた?見えた?
おおおお、久保田~~!
クボタ!クボタ!クボタ!クボタ!
強い鉄紺が帰ってきました!
東洋大学、12年ぶり、5回目の————
……さてと。
そろそろ起きるとするか。
本当のフィニッシュテープの瞬間は、
今日これから見届けるのだから。
ホント、みんな良い思いしてほしいよな。
頑張ってるんだからさ。
トータルリザルト
05.9km 17:28 (蒲田)
13.3km 39:51 (新八ツ山橋)
16.5km 49:17 (田町)
18.1km 54:24 (御成門)
20.1km 60:26 (馬場先門)
—–
01km 02分49秒 (2’49”)
02km 05分45秒 (2’56”)
03km 08分49秒 (3’04”)
04km 11分48秒 (2’59”)
05km 14分41秒 (2’53”) +14’41”
06km 17分41秒 (3’00”)
07km 20分38秒 (2’57”)
08km 23分36秒 (2’58”)
09km 26分36秒 (3’00”)
10km 29分41秒 (3’05”) +15’00”
11km 32分37秒 (2’56”)
12km 35分37秒 (3’00”)
13km 38分42秒 (3’05”)
14km 41分48秒 (3’06”)
15km 44分47秒 (2’59”) +15’06”
16km 47分47秒 (3’00”)
17km 50分48秒 (3’01”)
18km 53分50秒 (3’02”)
19km 56分52秒 (3’02”)
20km 59分52秒 (3’00”) +15’05”
21km 63分11秒 (3’19”)
22km 66分22秒 (3’11”)
23.0km 69分18秒 (2’56”) +9’26”

